今回は、いつもの番組内容に変えて、JAグループ京都が全国に先駆けて導入した新しい組合員制度について考えるスペシャル版。

スタジオでは会長自身の言葉で、制度改革の意義と、これからどのような京都農業創生、そして地域づくりを進めていくのかを語って頂くとともに、新たな組合員制度により地域や農業の現場に生じている変化を取材。新制度がもたらす効果を地域農業の振興や地域づくりの視点から検証します。

中川会長

戦後大きく変化した日本の農業。その現状に即した形で、JAの定款変更を行い、新しい組合員制度を導入した背景を語る中川会長。過疎化高齢化が進む中、国もまた地域一体となって農業や農山村を支える取り組みを推進していますが、今回の新制度はその理念にも叶ったもの。制度の概要についても、ポイントを紹介します。


沼田部長

府内JAの指導監督機関にあたる京都府も、新しい組合員制度に期待を寄せています。地域農業の本当の担い手が、多様な意見をJAの各種事業や地域づくりに反映できるものと高く評価。京都府農林水産部の沼田部長にもお話を伺いました。

組合員資格の確認

新たな制度が始まって以降、府内の農業の現場にも様々な変化が生まれてきています。従来の制度では、「農業を仕事にしている人」を「正組合員」とし、「JAバンクや共済を利用している」を「准組合員」としており、JAの事業運営に対して意見を述べたり、議決を行える権利は「正組合員」にしか、与えられていませんでした。しかも、「正組合員」は1世帯にひとりだけ。家族全員が農業に従事し、しかも果樹や野菜づくりなど、いろいろな農業を営んでいても、議決権は1つしかありませんでした。

新制度では、農業への関わり方を点数化し、一定以上の点数があれば、議決権のある「組合員」となれるため、より多くの農業者の声を、事業や地域づくりに反映させることができます。(写真は農業との関わりを個別に聞き取り、組合員資格の確認を行っている様子)

光里さん

南丹市日吉町。親子で京壬生菜栽培をする谷口農園では、もともとお父さんだけが、正組合員で議決権を持っていました。でも、今回の改革で、娘の光里さんも、議決権のある「組合員」に。今後は父親とは違う若い就農者の視点で、地域農業の振興のために発言し、丹波栗の生産振興などにも取り組んで、地域活性化を目指していきたいと考えています。

玉野さん

以前の制度では、議決権のある「正組合員」は1世帯にひとりだけだったため、実際には農業をしていない人が「正組合員」で農業をしている人が「准組合員」というケースも少なくありませんでした。

京丹後市の農業生産法人に勤める玉野さんは、米や京野菜の栽培に10年近く従事していますが、高齢で引退した祖父がずっと「正組合員」。自身は長年、「准組合員」でした。今回の新しい組合員制度の導入で、議決権のある「組合員」になったことから、今後は、JAの事業運営にも積極的に発言し、地域を支えるための農業を実践していきたいと話してくれました。