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オリンピック4大会連続出場、そして北京オリンピックの銀メダリスト、朝原宣治さん。
日本のスプリント界を切り拓いてきたレジェンドが今、 再び世界へ挑もうとしています。
兵庫県に生まれた朝原さんは、同志社大学時代、100メートルで10秒19の日本記録を樹立。
その後、自らの日本記録を2回更新しました。
アトランタから4大会連続のオリンピック出場、2008年、北京・男子4×100メートルリレーで銀メダルを獲得し、その年、第一線を退きました。
しかし、朝原さんの「走る人生」は終わっていませんでした。
夏のような日差しが降りそそぐ京都市左京区の宝が池公園で朝原さんは静かに身体を動かしていました。
Q.ちなみにフルマラソンは?
「いや無理です。
長距離は。全く走れない。
体質上向いていない。有酸素運動は」
この日、急斜面をハイスピードで駆け上がるトレーニングに汗を流しました。
50代とは思えない、鋭い足運びです。
「トラックに行って練習するのはちょっとね。
ずっと選手の時に見てきた風景なので...」
かつて、避けてきたマスターズ陸上。
「初めはずっと避けてきた。
なぜかというと、オリンピアンとか、メダリストがマスターズ陸上に足を一歩踏み入れると、皆から期待されて、本人も負けるわけにはいかないとか...」
転機は2018年。
世界マスターズに初出場。
翌2019年、M45【45~49歳】の4×100メートルリレーで世界新記録(43秒27)
さらに2023年、M50【50~54歳】の4×100メートルリレーでも世界記録を更新しました。(44秒42)
「気持ち良かった。
勝ち負けもそうですし、参加されている選手の生き生きした感じとか。
仲間感が出ているとか...」
マスターズ陸上で朝原さんは、純粋に"競技を楽しむ"感覚を取り戻していきました。
2024年9月。
朝原さんは、100メートルで再び10秒台を記録しました。
追い風参考ながら、タイムは10秒93。
50代での10秒台は、マスターズの頂点が見える記録でした。
しかし、その後、試練が待っていました。
「去年の10月にケガをして手術をした。
大胸筋の腱が断裂」
懸命なリハビリを重ね、照準を合わせたのは、ことし8月の世界マスターズ。
もう一度、世界へ。
4月26日、京都マスターズのトラックに、 朝原さんの姿がありました。
京都マスターズ春季陸上競技大会、M50の100メートル。
張り詰めた空気の中、朝原さんは静かに前を見据えます。
勝たなければならなかった現役時代とは違う。
タイムは11秒28、世界大会へ向け、確かな一歩となりました。
「どれくらいで走れるかわからなかったので安心した」
安堵の一方で課題も見えてきました。
「初めて個人種目で世界マスターズ陸上に出るので、3本走らないといけない。
全日本とか国内のマスターズは1本のタイムレースじゃないですか。
世界マスターズは、予選、準決勝、決勝で勝負を決めるので...」
50代の体で、3本走る。
その挑戦を支える独自のトレーニングも...
「これをドラゴンボールの亀仙人のように着て山を登ると、筋トレの代わりになる」
10キロの重りのついたベストを装着して、山道を駆け上がります。
「(緑のなかで)こうやって休んでいる時も、気持ちがいい!
いろいろ考え事しながら...」
Q."走る"とは?
「一番、簡単ですからね。
誰でもやろうと思ったらできる。
ただ継続するのとか、モチベーションを保つのが大変なだけ」
大切にしているのは、"好きな場所へ行き、ついでに練習する"という感覚。
無理に追い込まない。
でも緊張感は忘れない。
その絶妙なバランスが、 朝原さんの"今"を支えています。
「10秒台をもう一度、出したい。
世界マスターズ陸上 M50で優勝したいです」
若いころのように、国を背負って、企業を背負って走るのではない。
ただ純粋に、走ることが楽しい。
だから、一歩ずつ前へ進む。
















