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一般的に相撲の土俵で練習できる施設は大学などに限られ、民間ではほとんどありません。
そんな中、去年、相撲をする選手たちに向けた民間の道場がオープンしました。
京都市西京区大原野、自然豊かなこの地にちょっと珍しい道場が誕生しました。
案内してくれたのは建設会社を営む齊藤隆太さん、門をくぐって奥へと進みます。
古民家の中に現れたのはなんと、、、
【声】齊藤隆太さん
「こちらが、私が作成した相撲の道場です」
築100年を超える古民家の中にあったのは本格的な土俵。
斉藤さんが、私財を投じて作り、相撲をする選手たちに向けた道場としてオープンさせました。
土俵を作ったきかっけは、二人のこどもたちへの想いでした。
【声】齊藤隆太さん
「息子が小2から、娘も小2から相撲を始めて、長年ずっと家に帰ってきてからの練習場所がないということで、それじゃうちで作ってしまおうという感じで作りました」
勝つために、部活が終わってからも毎晩兄弟で稽古に励む様子を見て、「練習場を作ってあげたい」という夢を抱いていました。
5年ほど前から空き家になっていた古民家を購入し、一気に現実のものとして動き出しました。
【声】齊藤隆太さん
「室内で(相撲)できたらいいな、畳の上で。
柱も邪魔やし、見ているうちに柱とったら、床つぶしたら、本物の土俵出来るやんって思った」
去年6月、手作りの土俵造りが始まりました。
自力で床や壁を撤去。
鉄骨を入れるなど一部作業は専門業者に任せましたが、土を固める作業は長男の藍さんも手伝い、3か月をかけて土俵を完成させました。
【声】齊藤隆太さん
「極力、昔の昭和な感じを残したいと思いまして、欄間や消防団の飾りを残しつつ、安全になるように作りました」
その名は「にゃんこ道場」。
女子更衣室も備えました。
さらに藍さんの提案で鉄砲柱が設置されました。
現在、同志社大学の相撲部に所属する藍さんも道場の完成を喜びます。
【声】同志社大学 3年 齋藤藍さん
「どんどん上を目指して頑張っていきたいと思っているので、もっと練習できることが純粋に嬉しく思いました」
一方、長女の未来さんは、、、
【声】金沢学院大学 1年 齋藤未来さん
「まじか、、、ほんまに作るんや。
家でも練習できるから、うれしい気持ちもありつつ、家でも(練習)か・・・
でもその分強くなれるしいいな」
8月末、大学の寮が閉鎖となり、例年、休暇にしていたという期間に合わせて、同志社大学がこの場所を合宿所として訪れ、鳥羽高校からも一人が合同練習に参加していました。
【声】同志社大学 4年 竹林春平主将
「今回のように寮が使えなくなったりした時にも、こういうところで練習できることはありがたい」
【声】鳥羽高校 2年 松田聖選手
「学校では他の部活の声がいっぱい聞こえるんですが、周りが静かで集中して取り組みができたり、大学生と相撲をとれることがないので、先輩たちの胸を借りて良い稽古ができた」
夢を抱いて10年、こどもたちは有望選手へと成長し、環境の整った大学で相撲を続けています。
それでも帰省したときには、二人は道場で汗を流します。
【声】齋藤隆太さん
「感慨深いものがありますね」
「わが子のために」というきっかけから作った道場。
しかし、今、齊藤さんの想いは変化してきました。
【声】齋藤隆太さん
「この道場を通じて、京都の相撲人口が少しでも増えたらうれしいですね。
小さいこどもに来てもらって、相撲と触れて相撲が楽しいと思ってもらえたらいい」
藍さんも道場へ思いを寄せます。
【声】同志社大学 3年 齋藤藍さん
「ここの土俵で練習したから全国優勝できたという声を聞きたい。
自分も結果出して、後輩達にここで練習した分だけ強くなれるよっていう魅力を伝えていかないとダメだなと思いました」
古民家から全国へ。
にゃんこ道場が京都の相撲の未来を後押ししています。