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ことし4月から、伝統校・龍谷大平安高校の指揮を執ることになった元プロ野球選手の川口知哉新監督、新体制で挑む龍谷大平安の春の戦いを紹介します。
それは、高校野球界にとって急転直下の出来事でした。
龍谷大平安高校の原田英彦前監督が部員への行き過ぎた指導を認め、辞任、まさかの結末で32年に及ぶ監督生活の幕を閉じました。
そんな中、次期監督候補だった川口知哉コーチが、急きょ4月からチームを任されることになりました。
【声】龍谷大平安高校 川口知哉 監督
「元々、準備はある程度していて、いずれ監督になるだろうというのはあったので、そのへんの覚悟というか 準備は整っていました。
なので、そんなに現場レベルの観点からすると、無茶苦茶困るなというのは無かったですね」
川口さんは、1997年の夏の甲子園に平安高校のエース、4番として全国準優勝に貢献、その後、ドラフト1位で、プロ野球・オリックスに入団しました。
引退後は女子プロ野球の京都フローラの監督を務め、2022年から龍谷大平安のコーチに就任しました。
選手として指導者として様々な経験をした川口さんが考える平安野球の守るべき伝統と変革があります。
【声】龍谷大平安高校 川口知哉 監督
「僕の高校時代から平安高校というのは、やっぱり"礼儀"についてすごく徹底されていた。
それは良い部分でもありますし、やはり社会に出ても通用する人間になる。
人材育成というのは僕も役に立っていますし、今まで卒業していったOBも当然役に立っていると思うので、それは受け継いでいかないといけない。
逆に変えていかないといけないのは、この時代に合った指導方法ですよね。
押さえつけるというよりかは、選手のパフォーマンスが上がる状態で、どうやって育てていくのかというのを、まず最優先で考えて追いつめてというよりかは、ちょっとおだてながらやっていくのが、時代に合っているのかなと正直感じていたので、そのへんは変えていきたいと感じていました」
龍谷大平安は、これまで春夏合わせて76回、全国最多の甲子園出場回数を誇ります。
しかし 夏の甲子園には2018年以来、出場できていません。
去年の夏の京都大会準決勝、相手は2年生左腕、西村を擁する京都国際、巧みな投球術の前に手も足も出ず、わずか2安打に抑えられ、終わってみれば、11対1と屈辱の8回コールド負けとなりました。
京都大会を制した京都国際は、その後、甲子園で京都勢68年ぶりの全国制覇を果たしました。
【声】龍谷大平安高校 川口知哉 監督
「すごいなというのはあんまり思わないですね。
もう負けたらあかんばっかり思っています」
新体制で臨む初めての春季大会、勝てば夏のシード権獲得となる一戦の相手は・・・
龍谷大平安が屈辱的敗戦からおよそ9か月、京都国際とのリベンジマッチに挑みます。
京都国際の先発はエースの西村、1回ウラ龍谷大平安はデッドボールと2つのフォアボールで、1アウト満塁のチャンスを迎えます。
しかし、京都国際の西村の前にあと1本が出ません。
この試合、龍谷大平安の先発はエース番号「1」を背負う3年、臼井です。
最速145キロのストレートと5つの変化球を武器に京都国際打線を6回までわずか1安打に抑えます。
両チーム、スコアボードにゼロを並べて迎えた終盤の8回ウラ、龍谷大平安の先頭バッター岩谷が右中間へのスリーベースヒットを放ち、チャンスメイクします。
その後、デッドボールと申告敬遠でノーアウト満塁とします。
この場面で京都国際の西村がワイルドピッチ、3塁ランナーの岩谷がホームに生還し、龍谷大平安が1点をもぎ取り、試合の均衡を破ります。
9回まで龍谷大平安のマウンドにはエースの臼井があがり、最後のバッターをショートフライに打ち取りゲームセット、龍谷大平安が新たな歴史の一歩を踏み出しました。
【声】龍谷大平安高校 3年 臼井夏稀投手
「自分の中で楽しんでやると意識して投球しました。
次は近畿大会に出て、夏は絶対に(京都国際を)もう一回倒して甲子園に出ます」
【声】龍谷大平安高校 川口知哉 監督
「ほっとしてますね。
(京都国際は)去年とチームが変わっているので、でも西村投手というのは変わっていないので
そこを打てたというのは選手からすると、すごく自信になると思います。
課題がまだ結構あるので、課題を一つずつ潰していきながら、もうちょっと楽な試合ができるようにしていきたい」