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第129回 幽玄の世界へ誘う面の心 能面

 
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今回のいっぴんは「能面」!
仮面をつけて歌や舞を披露する能が華開いたのは室町時代。観阿弥、世阿弥親子によるストーリー性のある幽玄の世界を表した能の様式が、京都の武家社会に定着し、芸能として発展していきました。能で使用する面は「おもて」と呼ばれます。能面は単なる扮装の道具ではなく、幽玄の世界を映しだすためのアイテムであり、能楽師にとって魂のようなものです。そのため、中には数百年前に作られた能面が未だに能楽師によってかけられているものもあるのです。

その伝統を受け継ぎ、現代に能面を生み出す「能面打」(のうめんうち)と呼ばれる職人さんをご紹介します。見市泰男さんはこの道40年の能面打。「能面のような顔」と言えば表情の無い顔を例える言葉ですが、実は能面は様々な表情をみせます。能面は立体です。この立体が陰を帯びると正面から見た表情とは違って、笑みをたたえた顔、悲しみの顔など様々な表情を生み出すのです。能面打の仕事は過去に打たれた面を手本にし、忠実に模写することが仕事の中心です。型紙をおこし、寸法や角度など精密な復元作業が求められます。材木の檜を忠実に切り出し、能楽師の顔があたる裏の部分も丁寧に彫り上げます。そして、貝殻を原料とした胡粉を塗り、厚さも本面に合わせて塗り重ねていきます。彩色では汚れや傷なども忠実に再現するのです。古色をつけることで時間を遡っていき、そしてその能面をつける演者を過去の世界、非日常の世界へと導くのです。能面に心を打ち込む能面打。世阿弥が唱えた幽玄の世界がここに息づいているのです。


■お店情報

河村能舞台
京都市上京区烏丸上立売上ル柳図子町320-14
075-722-8716

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