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第39話 庶民のあこがれが生んだ 水無月

 
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「水無月」ってご存じですか?もちろん6月のことというのは言うまでもありませんが、実は京都でたいへんポピュラーな和菓子の名前なんです。「水無月」と言われるからには当然6月に因んだお菓子なのですが、その由縁を知らない人は京都でも多くいるようです。

6月30日、京都のあちらこちらの神社の境内では大きな茅の輪をくぐって半年間の罪けがれを祓う「夏越しの大祓」が行われます。土用の丑の日にウナギを食べるとか、冬至に南瓜を食べるとかと同じように、この日に欠かせない食べ物が「水無月」なのです。

旧暦の6月1日は「氷の朔日」といわれ、室町時代には幕府や宮中で年中行事として全国の「氷室」で作られた氷を取り寄せて食べていました。その日に氷を口にすると夏痩せしないといわれていたり、また氷の解け具合をみてその年の豊凶を占ったともされています。しかし初夏の頃、庶民にとって氷など簡単に手に入るものではありませんでした。そこで江戸時代中頃になって、氷をかたどった菓子が作られたのが水無月のはじまりと言われています。つまり、貴族たちへの庶民の憧れが水無月を生み出したというわけです。

本物の氷は食べられないけれど、見た目だけでも氷に似た涼しげなお菓子を食べて、罪けがれを祓い夏を乗り切ろうという庶民の願いが込められた「水無月」。それが脈々と受け継がれ、氷が簡単に手に入るようになった現代でも、6月30日が近付くとあちらこちらの菓子屋の店頭で「水無月あります」の貼り紙が京都の初夏を知らせます。


■お店情報

甘春堂本店
京都市東山区川端通正面大橋角
075−561−4019

京都鶴屋鶴壽庵
京都市中京区壬生梛ノ宮町
075−841−0751

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