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第34話 松花堂弁当を生みだした二人の男に迫る

 
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今回のいっぴんは日本料理の定番メニュー“松花堂弁当”です。松花堂弁当は皆さん、もちろん知っていますよね。ではその名前の由来をご存知でしょうか?実は江戸時代に京都で活躍した松花堂昭乗という僧の名前からきているんです。

この松花堂昭乗という人は書道、絵画、和歌、茶道などにも精通した当代きっての文化人でした。その昭乗がたいへん愛用していたのが、農家が作物の種などを入れるために使っていた田の字の形に仕切った箱でした。それを昭乗は絵の具箱に用いたり、小物入れとして使っていたそうです。しかしそれがお弁当箱として使われるようになるには、それから300年間あまり後の近代、もう一人の男との出会いがあったのです。

もう一人の男というのは、日本代表する料亭吉兆の創業者である湯木貞一です。昭和のはじめ、湯木貞一が松花堂昭乗の旧跡での茶会に出向いた折、部屋の片隅に置いてある四角い箱を見つけました。それは松花堂昭乗が使っていたとされるあの箱だったのです。それを見た湯木貞一は、これを料理の器としたらどうかと思いつき、1つを譲り受けて持ち帰ったのです。その後、様々な工夫を加え、四つのそれぞれの升に違う料理を盛り付ける現在の松花堂弁当となったのです。区切られたひとつの箱の中には、熱いものや冷たいもの、煮物や刺身などを一緒に盛り付けることができます。まさにフルコースを楽しめるお弁当箱としてたいへん評判となり、現在では全国的に知られています。

農家が使う道具であった箱が、時代を異にした二人の男の独創的な発想があって、料理を盛り付けるお弁当箱になったという話。一流の料理人にインスピレーションを与えた京都の文化の魅力に改めて気づかせてくれるいっぴんでした。


■お店情報

吉兆 松花堂店
京都府八幡市八幡女郎花
075-971-3311

八幡市立松花堂庭園・松花堂美術館
京都府八幡市八幡女郎花43
075-981-0010

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