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第17話 ねばりねばって四百年 麦飯とろろ汁

 
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世界に600種類以上の品種があるというとろろ芋。日本でも縄文時代から食べられてきたといいます。そんな日本人が愛するとろろ芋の話が京都市中京区にあるお寺、壬生寺に伝わっています。この壬生寺で有名なのが「壬生大念佛狂言」この狂言に、「山ばなとろろ」とゆう演目があるんです。その昔、山の芋をすった「とろろ汁」を名物として食べさせる茶店がありました。その店に強盗が押し入ったのですが、とろろの入った鉢がひっくり返り、泥棒は足を滑らせて捕まってしまうという滑稽なお話です。

実はこの茶店が洛北に400年以上昔から店を構える「山ばな平八茶屋」なんです。ここの名物が、京のいっぴん「麦飯とろろ汁」。はじめは旅人のお腹をふくらすファーストフードとして生まれたそうです。とろろ芋にはジアスターゼという消化酵素が含まれていて、これが消化があまりよくないと言われる麦飯のデンプン質を分解してくれるそうなんです。麦飯とろろ汁は科学的にも理にかなった食べ物やったわけですな。

そんな一杯のとろろ汁、昔からいろんなお人が店を訪れては、食べて行かれたといいます。あの陶芸家で美食家の北大路魯山人も足しげく通ったそうです。平八茶屋にはそんな魯山人にまつわる面白いエピソードが残っていました。今から60年ほど前、18代目が当主の時の若主人、園部日出男が“ごりの飴炊き”を仕込んでいたんやそうです。そこにいつものように訪れた魯山人がそのゴリをちょいとをつまみ食いしてこういったそうです。「ちょっと甘すぎるんと違うか?」若主人も頑固者「甘い」「いや甘ない」と、相当口論をしはったんやそうです。

その後に魯山人からこんな書が届いたそうです。「とろろやの主ねばって六十年 平八繁盛、子孫繁栄」これは400年続く平八茶屋は、とろろのように粘る頑固さのたまものだということをいっているようです。先祖代々頑固者。そんな平八茶屋の作る麦飯とろろはこれからもずっと京都のいっぴんであり続けるんでしょうな。


■お店情報

山ばな 平八茶屋
京都市左京区山端川岸町8-1
075-781-5008

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